単なる鑑賞ではない!壁画制作ワークショップが繋ぐ、世代とコミュニティの新しい絆

単なる鑑賞ではない!壁画制作ワークショップが繋ぐ、世代とコミュニティの新しい絆

1. アートを「教養」から「実践」へ

現代社会で求められるのは、既存の知識を応用し、未知の課題を解決する総合的な能力です。この能力を育成するSTEAM教育(Science, Technology, Engineering, Art, Mathematics)において、アート(A)は単なる美的な要素ではなく、創造性論理的思考を繋ぐ中核と位置づけられています。

JAPAN AX PROJECTなどが展開する壁画制作ワークショップは、この理念を具現化する「生きたSTEAMフィールド」として、従来の美術館での鑑賞とは一線を画す教育的・社会的な価値を生み出しています。

2. 教育的価値:壁画ワークショップとSTEAMの融合

壁画制作は、複数分野の知識とスキルを横断的に活用する、まさにSTEAM教育の実践の場です。

(1) A(アート)による論理的思考創造性の駆動

壁画制作は、まず巨大な壁という物理的な制約(E: Engineering)の中で、何を、どのように表現するかを考えます。

〇デザインと数学(M: Mathematics): 複雑な絵柄を拡大して壁に描く際、縮尺やパース(遠近法)といった幾何学的原理を無意識に、あるいは意図的に応用します。色彩の選択や配置は、視覚心理学に基づいた論理的な判断(S: Science)です。

〇表現力と問題解決能力: 参加者は自分のアイデアを視覚化(A)し、それを他者に伝えて共有・共同作業を行います。このプロセスは、他者の視点を理解し、共同で一つの目標を達成するための協働的な問題解決能力を養います。

(2) 技術(T)と社会実装

ワークショップでは、筆やローラーだけでなく、時にはプロジェクターやマスキングテープなどの技術(T: Technology)を活用して作業を効率化します。完成した壁画が公の場に設置されることで、子どもたちは自分の作品が社会に影響を与える「社会実装」を体験し、高い自己肯定感と社会への関心を育みます。

3. 社会的価値:コミュニティ・エンゲージメントの創出

壁画ワークショップは、教育効果だけでなく、地域のコミュニティ構造にもポジティブな影響を与えます。

(1) 世代・立場の水平的な連携

ワークショップには、プロのアーティスト、地域住民、子ども、高齢者など、多様な人々が参加します。アート制作という共通のゴールに向かって、参加者は年齢や社会的立場といった既存のヒエラルキーを超えた、水平な関係性で協力します。

〇例えば、子どもが自由に色を塗り、大人がその境界線を整える、といった協働作業は、異世代間コミュニケーションを自然に促進し、地域の社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)を強化します。

(2) プレイスメイキングシビックプライドの向上

老朽化した建物の壁や再開発地の仮囲いといったネガティブな空間に壁画を描くことは、空間を物理的に美しくするだけでなく、その場所の意味(価値)を再定義します(プレイスメイキング)。

〇住民が自ら手を動かして作り上げたアートは、単なる公共物ではなく「自分たちの作品」となり、地域への愛着や誇り(シビックプライド)を高めます。これにより、地域外からの訪問者(人流)だけでなく、住民自身もその場所を大切にする意識が生まれます。

4. アートが築く未来のコミュニティ基盤

壁画制作ワークショップは、一過性のイベントではありません。それは、参加者の創造性を解放し、STEAM的な思考プロセスを実践させ、さらに地域社会の絆を再構築する、多角的な価値を持つプログラムです。

アートを「特別なもの」から「日常の公共財」に変える壁画プロジェクトは、これからの社会が求める「学ぶ力」と「繋がる力」を同時に育む、新しいコミュニティ基盤の形成に不可欠な要素と言えるでしょう。

※上記ワークショップの作品は後日アーティストが作品として制作しました。

Artist by Sui&Oda
Artist by Luise Ono
Artist by Yusei

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私たちJAPAN AX PROJECTは、国内外で活躍する100名を超えるのアーティストと壁画アートを活用した空間づくりをしています。その事業の一環で教育的観点で壁画制作体験ワークショップを開催し好評をいただいております。地域のお祭りや商業施設でのイベントなどでご活用できる壁画アートワークショップについてお気軽にご相談くださいませ。

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